私の願いごと
泣きながら窓の外を見つめて
阪本明日香
2025.09.12
サポートメンバー限定
私はいま和歌山の海にいる。先日の朝も急いで準備をして、まだあまり人のいないビーチへ向かった。
海に来るとなぜか調子に乗って大声で騒ぎ出す若者たちがいない静かな時間。波の音や鳥たちのさえずりだけが聴こえてくるこの時間は、何物にも変え難い至福のひと時だ。
海で騒ぐのは悪いことじゃない。遊んではしゃいで楽しく過ごすのはいいことだが、日本人の騒ぎ方はいつも何かがおかしい。
他者がいることを完全に無視した気狂い状態に入る。我を忘れている。
日本人は日頃自分の殻を破れない生活をしているから、こういう場所に来るとここぞとばかりに自己を主張したくなるのだろう。
にしても耳障りでやかましいので彼らが集まりだす昼頃には必ず帰ることにしている。
その日はゴーグルをつけて海の中を観察しながら一人で泳いでいると、遠くで自然のものではない光を放っているものを見つけた。
なんだろうと近づくと、アルミのようなビニールのような、ゴミの破片だった。
「こんなものを海の生き物が食べたりしたら死んでしまう。人間の出すゴミでどれだけの生き物が苦しめられているか。」と腹ただしくなりながら、そのゴミを足で掬いあげて陸にあがろうとした。
するとその瞬間、信じられない光景を見た。