「暇人」というカッコいい生き方

毎日つまらない。暇だからつまらないのではない。つまらないことをしたくないから暇なのだ。
阪本明日香 2025.08.04
誰でも

私はいまベトナムにいる。ダナンという海が有名な街にいるのだけれど海には一回も入っていない。セッションをする時以外はずっとヒマをしている。こんなに何もしないでいる日々を送るのは人生ではじめてかもしれないレベルでヒマだ。おそよ人間の生活とは言えないレベルで怠けている。

世の中的に暇であることは悪いイメージが強い。暇なやつイコール社会の役に立っていないだとか、友達がいないやつだとか、リア充(死語?)じゃないとか、そういう印象がつけられているからだろう。


だけど本来、人は暇な時間をつくるためにお金が必要なだけだ。クソみたいに忙しい資本主義社会のなかで余暇を自由に過ごすためにしゃーなし仕事をするのであって、仕事をするために生きているわけではない。そのような無駄なことなど考えないように、忙しくしてくれないと困る人たちがいるのだ。

「すべての仕事は、人間の良心を麻痺させるために存在するんだよ。資本主義を生み出したのは、仕事に打ちこみ貯蓄を良しとするプロテスタンティズムだ。つまり、仕事とは宗教なのだよ。信仰の度合において、そこに明確な違いはない。」
(伊藤計劃『〔新版〕虐殺器官』早川書房、P310)


そんな社会的な刷り込みによって、暇になるとネガティブになる人があまりに多い。そわそわして落ち着かなくなり、予定がないと情緒不安定になったり、挙げ句の果てに自分を生きている価値がないなどと思う人までいる。暇だからネットで誹謗中傷したり、嫌がらせをして人をわざわざ傷つけて自分の存在価値を測る輩もいる。必死に暇を潰している。

人にとって暇はそれほど恐ろしいものなんだろう。社会の思惑通り、いい感じにプロテスタンティズム、優生思想が浸透している。


とはいえ、毎日つまらない。暇だからつまらないのではない。つまらないことをしたくないから暇なのだ。

知らない国で知らない場所に行けばそれなりの刺激がある。ローカルマーケットで買い物するのも楽しい。ベトナム人は優しい。だけど、私が今求めているのは、そんななにかを紛らわせるためのものではない。ましてや暇をつぶすためになんてありえない。

だからひたすらに暇な日々を過ごしている。べつにこのまま暇な日々をダラダラ過ごし死んでいくのも悪くないと思ってた矢先、ちょっと心揺さぶられるものに出会ってしまった。ただ結局それもなにかを紛らわせるものかもしれないし、また途中で飽きて振り出しに戻るのではないかと思い保留している。

まあなんでもいいのだけれど、とにかく私はつまらないことをしたくない。

つまらないことをして自分にがっかりしたくない。

「人生がつまらないのは自分がつまらないからだ」と昔私が言っていたが、まあそうなのだろう。だが、面白いと感じる感受性、感動を見つけだす感性というのは日に日に成長していくもので、無理やり面白いものを見つけてつまらなさを誤魔化す人生はかなり滑稽に見える。「人生は暇潰し」なんて言葉があったが、そんな不憫な人生もない。


忙しく目まぐるしく仕事をして、自分の感情や他人の感覚に鈍感になって、なんのためかもわからず暇を潰すために死んでいくよりも、感動するものに出会えるまで、動かず騒がず暇のまま生きていくというは、それはとても立派な生き方ではないか。そしてそれはとても精神力のいる、つよくカッコいい生き方ではないだろうか。

ああ、ヒマだ。お腹がすいたのでこの辺にしておく。
せっかくダナンにいるのだから、今度ビーチでヒマでもしよう。



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