「殺意」を抱きしめる

殺意は他人に向ければ脅威になるし、自分に向ければ地獄になる。
阪本明日香 2025.09.03
誰でも


今わたしは和歌山の海にきている。ベトナムから帰国して、東京で仕事をし、実家に戻って、落ち着く間もなく和歌山にきた。この数ヶ月間、これまでの自分では考えられないくらいの頻度で体調を崩していたけど、今は一番調子が良い。

海と夕焼けが眺められる部屋で夕焼けをみて、夜9時頃にはベットに入り早朝に目を覚ます。昨日は6時にはベッドに入ってぐっすり寝たのですこぶる元気だ。今年は一度も海に入れていなかったけれど、ついに昨日朝の海で泳げた。

ここには南国のようなカラフルな魚はいないけど、おいしそうな魚がたくさん泳いでいた。魚を眺めたり綺麗な貝殻を拾ったり、熱った体を冷やすようにぷかぷか浮いたりした。気持ちよかった。


海から出ると信じられないくらい日焼けをしていて背中が赤黒い。ヒリヒリしてすべてがしみる。私もなにを思ったのか顔以外に日焼け止めを塗らなかったから悪い。紫外線を舐めていた。せっかくベトナムで買った水着の日焼けをしたかったのだ。


最近、インスタと仕事以外のすべてのSNSをやめた。何かが違うと感じるとなんの惜しみもなくそういうことをする節がある。Xに関しては10年以上やっていたが、基本的に情報収集のために使っていたし、最近知っのが私のアカウントはシャドウバンというものにになっていたらしく、投稿してもただのひとりごとになっていた。基本的にこれまで私の人生はずっとシャドウバンなので、自らバンした。

それとここ最近、人々のひどい投稿や世の中のむごたらしいニュースを目にするたびに、堪えきれないくらいの殺意を感じるようになっていた。性暴力や児童買春、ジェノサイドやフェミサイド。目を凝らしてそれらを受け止めるには感情移入せずに感受性をとざすしかない。だけど感受性を閉ざし続ければ、それらの事実は他人事になり思考停止するようになってしまう。

殺意は他人に向ければ脅威になるし、自分に向ければ地獄になる。


だから海にきた。

片道4時間の電車の旅で、いつも肌身離さず持っているAirPodsを忘れたことに気づき、しばらく血の気が引いた。音楽のない移動の4時間なんてこれまで過ごしたことがない。目が覚めたらなによりもまず音楽をかけるような人生だったからドキドキして、動揺した。だけどすぐ気持ちを切り替えてぼーっと車窓を見て過ごすことにした。

その時にはじめて気づいたのは、音楽の情報がないと視界の情報がより開けるということだった。景色がいつもより鮮明に色鮮やかに見え、その場にいる人々が景色から存在に変わった。


もちろん鬱陶しい存在もよく目に入る。電車に乗る前からずっと私を見ていた少し知的障害がありそうな言動を取る男性が、電車にのったあとも隣の車両からずっと満面の笑みで私を見ていた。数駅乗って、ふと気がつけば前の椅子に座っていることに気がつき、あーうぜ、と思ったら次の駅で降りた。

和歌山のホテルについて食料を買い出しに行った帰りに「お姉さんどこからきたんですか」とベタなナンパをしてくる若い青年。大丈夫ですとやんわり断ると私がタイでかったトートバックを見て「バンコクってどこ?タイワン?」とまだ話を続けようとする。

ナンパをする様な男はアホしかいない。私は苦笑いをして足を止め、はよ行けやと言わんばかりに手を前に差し出して会話を終了させた。

海でぼーっとしているときも3名の男の団体がわざわざ私の視界に入るところで浮いており、会話がやけに耳に入ってくる。水着姿で座りながらスマホを見ている私に聞こえるように「そんなとこ見るなやー」とキャッキャ言っている。一気に殺意が湧き上がって睨んでいたらどこかに消えた。


殺したくないから本当に話しかけないでくれ、と言ってもこういうアホには通じない。このような行為がどれだけ侮辱しているか、どれほど不快で、人の尊厳を傷つけているのか、こいつらはまったく理解をしていない。迷惑なんてレベルではない。日本の男はあいも変わらずアホばかりだ。


だけど、そんな殺意や怒りも、自分の一部であり大切な感情だと最近は不器用にも抱きしめられるようになってきたと思う。

心の平和を保てない人間が、他人や社会や世界の平和を願っていいわけがない、と言うは易く行うは難しだが、どれだけ人間の汚い部分や闇を見つめても、自分を保てるようになれたらと今は日々精進している。


ここ数ヶ月ずっと言いたいことが言えなかった。言葉にならない状態が長かった。最近は書きたいことや伝えたいことがたくさんある。たくさんありすぎて言葉にするのが逆に難しいのだけど、こんなふうに少しずつ文章やYouTubeで伝えていこうと思う。Xもそのうち再開できたらいいなと思っている。

今日の夕焼けは、今年見た中で一番きれいだったよ。




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