これだけ不自由な日本で、病まない方が変だ

自由がないと人は活気を奪われていく。元気を失う。どれだけ休んでも元気にならない。当然だ。なにより、日本にはリラックスの仕方がわからない人が多い。休みの日も常に力が入ってしまい、休まらない。ただただ消耗して、回復するより前に疲れとストレスがさらに覆い被さってくる。
阪本明日香 2022.09.12
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ニューヨークから帰国してちょうど1ヶ月が経った。私はというと、とにかくテンションが低い。何もしていなくても毎日疲労している。前の記事で「慢性的なストレスは人体の害になる」と書いたけど、ここにはあらゆるところに慢性的なストレスが溢れている。


以前、こんなことがあった。
ニューヨークにいる時、鏡を見ていると白髪をいくつか発見した。もともと白髪が出にくいタイプではあったけど、私もついにきたかと思ってよくよく髪を見てみると、根本の2,3センチは地毛の色に戻っている。すべての白髪が同じ状態だった。


髪の毛は1ヶ月で1センチ前後伸びると言われている。その時はニューヨークに来てからおよそ2ヶ月たった頃だった。根本の2,3センチは、ニューヨークにきてから戻ったものだとわかる。白髪になっている箇所は日本にいた時期とぴったり一致する。


まじか・・・信じがたかった。日本にいるだけで、身体が老化していく。。過ごす環境で、こんなにも身体を変えてしまうのかと。それ以上に、ここまでストレスを感じていたのにまったく気がつかなかったことに恐ろしくなった。


これは私自身が特段ストレスを抱えているというわけではない。私の生活は自由気ままだ。拠点を持たず、全国各地好きなところへ行き、好きな環境で生活をしている。好きな時間に仕事をして好きな時間に休む。キライな人とも付き合う必要がない。むしろ、ストレスが少ない方の人間だと思う。

それでも、日本に帰国してから心が消耗していることをヒシヒシと感じる。息をしているだけで、気が削がれていく。1日のほとんどを寝て過ごすことも多い。

なぜ何もしていなくても、体が、心が、勝手に疲れていくのだろうか。


日本には自由がない。私たちが当たり前だと思ってこなしている習慣も、人に迷惑をかけちゃいけない、空気を読まなくちゃいけない、ちゃんとしなくちゃいけない、と見えない何かに管理され縛られているところからきている。

言いたいこともいえない。服装の自由もない。空気を読まない発言をすると、たちまち変人扱いをされ、女が肌を露出していると白い目やイヤラシイ目でジロジロ見られる。会社ではつねに上司の気配りをして、笑いたくなくても作り笑いをする。電車の中では咳をしないようにマスクの中で息を潜める。学校では髪型まで決められて、スカートの丈まで図られる。軍隊だ。


最近では子供たちの遊ぶ場所まで管理されている。空き地はすべて誰かの所有物になり、公園には「長時間座るな」、「大声をだすな」、「ボール遊びをするな」という看板が張り巡らされていて、もう誰もいない。


自由がないと人は活気を奪われていく。元気を失う。

どれだけ休んでも元気にならない。当然だ。
疲れには三段階のレベルがあり、二段階目に入ると通常よりも2倍疲れやすくなる。そして、二段階目になると身体が警戒体制に入ってぐっすり眠れなくなる。

なにより、日本にはリラックスの仕方がわからない人が多い。休みの日も常に力が入ってしまい、休まらない。ただただ消耗して、回復するより前に疲れとストレスがさらに覆い被さってくる。

それでも管理社会で生きるためには気を張ってなくてはいけない。間違えないように失敗しないように、体はいつも緊張していて体力と気だけが削がれていく。


これだけ不自由な日本で、病まない方がおかしい。


「子供は、管理された状況でしか、体を使ってはいけない」 
恋さえもだ。自由さを奪うこと。その「見返り」は、「管理しやすくなること」。
「代償」は「活気が失われること」。 
そして、「管理しやすさ」という見返りは、すぐに結果が見えやすく、管理責任を問われることもない。それに対し「活気が失われる」には長い時間がかかり、それに対しての責任は、誰もとらなくてよい。なぜなら特定できないから。

『愛と暴力の戦後とその後』赤坂 真理

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